ある調べものの関係で、国会のインターネット中継の録画を見ていると、秘密保護法の「第三者機関」に関する質問と答弁(1/31予算委員会)が行われていました。思わず見入った後に、文字おこししてみたのですが、「何、この議論!」というぐらいアベちゃんの言っていることはわけわからないし、質疑者の岡田克也氏(民主党)も「おい、おい、それだけかよ」と言いたくなる「ぬるい」もの。
以下、文字おこししたものを貼り付けておきますので、ご覧ください。
岡田克也議員
第三者機関、つまり、情報保全監察室を内閣府に設置するということになっていますが、これはどうして第三者機関なのか。独立性というのはどういう風に担保されているのでしょうか。
森担当大臣
法律の附則9条におきまして、独立した監査機関をおくことになっておりまして、これを施行までに、仮称でありますけど、情報保全監察室を設置し、行政機関による個別の特定秘密の指定をチェックすることとしております。これは内閣府に置かれます。ですから、防衛大臣が指定した防衛秘密、外務大臣が指定した外務秘密、それらをそこと独立した公正な立場で、特定秘密の指定をチェックするというものでございます。
この答弁は、とうとうと読み上げておりましたから、おそらく官僚の答弁メモ。けっして「第三者機関」という言葉を使わず、「独立した監査機関」という言葉を使用しています。そしてこの「独立した」とは、各省庁から「独立した」という意味であるとしています。
岡田克也議員
まず、第三者機関とは当事者の外にあるのが、普通の第三者機関だと思うんですね。政府の中にあって、それが第三者機関というのは聞いたことがないんですね。独立性についても、内閣府にあるから、他の役所と独立しているということですが、内閣の中では一つじゃないですか。
内閣官房の長というのは、総理ですよね。違いますか。総理なんですよ。ですから、総理が特定秘密を指定する立場にあるわけです。内閣府も総理なんですね。共通しているわけですよ。けっして独立じゃないですよね。そして、内閣官房の指定する特定秘密は、おそらくたくさん指定されます。おそらく衛星写真だけでなく、内閣調査室の情報もあります。あるいはこれから日本版NSCを作るんであれば、その事務局である国家戦略局の情報もあります。膨大な情報が内閣官房にあるわけですね。それを同じ総理をいただく内閣府で、独立して中身をチェックできるんですか。
安倍首相
まあ、この~。第三者機関と言っても政府内じゃないかというお話なんですが、例えば、秘密について、外務省のものであれば、外務省だけで判断をしていたわけですね。防衛省であれば、防衛省だけだったわけですよ。これがあらたにこういうものがつくられるのは、特定秘密で初めてつくられるわけですから、これは大きな違いが、私はあると思いますよ。
意味のない「大きな違い」を強調し、政府外の「第三者機関」については、何も答えていない。
そして、総理大臣である私と言うのは、国民から選ばれた国会議員から選ばれ政府を率いる立場として、行政機関が正しく秘密にしているかどうか、国民の代表としても見る。もちろん政府の代表でもあるわけですが、国民に選ばられた国会議員の代表としても、見るわけであります。そして、それは政権も変わるわけですから、正しかったかどうかというのは後々必ず検証を受けるわけであります。
総理大臣は、「国会議員の代表」?いや、いや行政の長でしょ。何を言っているのかさっぱりわかりません。「国民の代表」だから、「まかせて安心」ということ?
そこで、私が果たして全部見れるかということでありますが、先ほども申し上げましたように、特別管理秘密については90%以上が衛星写真であり、さらに暗号があって、武器、あるいは潜水艦については、スクリューの形状、あるいは厚さ、等々も含めて細かい秘密がいくつもあるわけです。それをコピーすれば一件一件増えていくわけでありますが、それを全部足しこんでいっての42~43万ということになるわけでありますが、ほとんどが防衛秘密といっても、いいんだろうと思います。内閣官房においてもほとんどが衛星といってもいいんだろうと、こう思うわけであります。その上で、カテゴリーをしっかりと分けていく中で、これはしっかりと見ていくもの、あるいは、こういうカテゴリーになっているんだなと思うものもあるわけでありますから、その中で私は十分に把握は可能であろうと。それは外国の情報機関から提供されていて、それをつまりですね、サードパーティールールで外に出せないものというのもあるでしょうし、それ以外のテロから守るためにこういうことをしていますよというカテゴリー。
外野から野次らないでください!真剣に議論しているんですから。
ということを私たちはしっかりと見ていく事は可能なんだろうと思います。
「私がちゃんと見ることができる」という理由をとうとうを述べいているのですが、そんなことが問題ではありません。行政の長の決定が恣意的ではないか、濫用はないかというチェック機能の問題でしょ。ヤジは当然。私がその場にいたら、「あんたは一日中それを見ていろ。その方が世のため人のため」ぐらいのヤジを飛ばすでしょう。
岡田克也議員
総理ご自身が、最終的な担保になっているというご答弁ですが、この法律の本質というのは、権力というものが時には国民にとって、暴走したり、権利を侵害するということでつくられている法律だと思うんですよね。その権力の頂点が総理大臣ですから、総理が見ているから大丈夫だというのは、説明になっていないと思うんですね。先ほどの密約の話でも歴代の総理が事実に反する答弁をしてきたという歴史もあるじゃないですか。ですから、そこはもう少し独立した、あるいは第三者の入ったような、そういう機関構成にする必要があるんじゃないかと思います。
「もう少し独立した」とか、「第三者が入ったような」とか、何ぬるいことを言っているのか、岡田さん。最低限、行政機関以外の第三者で構成する独立行政委員会とか、明確に示すべきでしょう。もちろん、独立行政委員会が、政権の意向から独立できるかという点はありますが、法の必要性は認める民主党からしたら、最低ラインでしょ。
私は、もちろん特定秘密保護法は廃止すべきだと思います。