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2017年5月18日 (木)

超キケンな判決 「未必の故意による黙示的共謀」高裁判決で再び

2015年4月静岡市長選挙で、公職選挙法違反(利害誘導罪)に問われた斎藤まさし氏に対し東京高裁は、「控訴棄却」の判決を下しました。

判決後の斎藤まさし氏、弁護団の記者会見はこちらから http://iwj.co.jp/wj/open/archives/378922

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<霞が関 司法記者クラブにて>
斎藤まさし氏、小川秀世氏(主任弁護人、袴田事件弁護団事務局長)、平岡秀夫氏(弁護人、元法務大臣)、酒田芳人氏(弁護人)、山本太郎議員(選挙干渉裁判チェックの会共同代表)

私も傍聴していましたが、判決は結論的には静岡地裁の一審判決を踏襲するもの。しかし、弁護側の主張は延々と引用するものの、私の聞く限り、その主張を退ける論旨はほとんど聞かされることはありませんでした。

この裁判で論点となっているのは、市長選の告示前に政治団体が立候補予定者の名前や政策を掲載した機関紙を街頭でアルバイトを使い配布し、その際に「○○○○(予定候補者)です。よろしくお願いします」というよびかけ文言を発していたことが、事前運動(選挙運動)にあたるのか、また、そのよびかけ文言が会議で共謀されたのかどうか、ということ。

まず、政治団体が選挙の告示前に、立候補予定者の名前や政策及び選挙に関する評論を掲載した機関紙を配布することが、「事前運動」=選挙運動にあたるのか、ということですが、こうした機関紙の体裁をとったチラシなどは選挙前にみなさんもよく見かけると思いますが、公職選挙法では次のように規定されています。

公職選挙法第148条(新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由について)
「この法律に定めるところの選挙報道の制限に関する規定(第138条の三の規定を除く)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載する自由を妨げるものではない。」

と明記されています。では、ここで言う「新聞紙(これに類する通信類を含む)」の中に政党その他の政治団体の機関紙が含まれるのか、という点は、旧自治省も現総務省も「含まれる」という見解です。また、その機関紙が有償でなければならないという規定は、公職選挙法及びその他の法律のどこにもありません。

したがって、選挙に関する報道や評論を掲載した政治団体機関紙を、選挙の告示前に、無償で街頭やポスティングなどにより有権者に配布することができるという解釈で、こうしたことが全国各地で行われているわけです。

次に、アルバイトを使っての政治団体機関紙の配布ですが、今回の裁判では「よろしくお願いします」というよびかけ文言が「投票依頼にあたる」として、アルバイト代を支払うことが「利益誘導罪」とされ、さらに、そのよびかけ文言を使うことが「共謀」されたのかどうかが争点をなっていました。(「政治団体の政治活動」ならばなんら問題はない)

斎藤まさし氏は、実行行為者(配布業者への依頼した人)ではありません。また、選対会議でもよびかけ文言の確認は行われていません。(一審の検察側証人として出廷した選対会議出席者もよびかけ文言の「共謀」を否定しています) つまり、明示的な「共謀」は一切ないのです。そこで編み出されたのが「黙示的共謀」というわけです。

そして、「未必の故意」とうのは、ふつう「確定的に犯罪を行おうとするのではないが、結果的に犯罪行為になってもかまわないと思って犯行に及ぶ際の容疑者の心理状態」などと言われますが、今回の場合誰も「よろしくお願いします」が投票依頼になるとは思っていません。

にもかかわらず、この二つを混ぜ合わせたのが、「未必の故意による黙示的共謀」。今回の高裁判決でも、一審判決に引き続きこの「未必の故意による黙示的共謀」が言われています。(判決文や判決要旨が手元にありませんので、詳しく吟味できませんが)

現在、「テロ等準備罪」という名前で「共謀罪」が国会で審議されていますが、こんなに広く「共謀」の範囲を広げれば(「共謀罪」の成立前ですからね)何でも捜査当局の恣意的な「判断」で逮捕し、有罪とすることができることになってしまいます。

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歴史的に振り返れば、1925年普通選挙法と同時にあの悪名高い治安維持法が制定されています。それから100年近く経とうとする今、「共謀罪」の作られようとしている時に、その先取り的な「未必の故意による黙示的共謀」の名の下に、政治団体による選挙報道や評論ができなくなるような「判決」が下されたことに、大きな憤りと危機感を感じます。

なお、斎藤まさし氏と弁護団は最高裁への上告の意思を明らかにしており、今後最高裁で争われることになります。

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