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2013年10月28日 (月)

「おそれ」=「特定秘密」のあいまいさ

特定秘密保護法案=秘密保全法が閣議決定されました。すでに多くの人々から指摘されていますが、この法案での秘密指定のあいまいさと濫用防止策の欠如は、驚くほどです。

法案では特定秘密は以下のように規定されています。

「行政機関の長が、当該行政機関の所掌事務に係る事項に関する情報で、公になっていないもののうち、その漏えいがわが国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であると指定するもの」

ここで曲者だと思うのは、「おそれ」。「おそれ」というのは可能性ですから、行政機関の長が、可能性があると「判断」すればなんでも特定秘密と指定することができるということになります。しかも、何を特定秘密にしたのかは明らかになりませんから、その可能性がないにもかかわらず「特定秘密」としたとしても、外部からのチェックは一切入りません。

この「おそれ」という表現、実は現行の情報公開法や地方自治体の情報公開条例でも多用されています。具体的には、「公開しない」とする非公開情報について。

情報公開法や条例の構成では、基本的には「行政文書の開示義務」を定めていますが、限定的に非公開とする情報について列挙しています。たとえば、

「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報 」(情報公開法第5条3項)

ここでの「おそれ」は、それこそ拡大解釈される「おそれ」があり、かつ現実にされてますが、情報公開法や条例では救済措置というか、請求者は不服申し立てを行うことができ、第三者機関である「情報公開審査会」が、非公開の情報を実際に見て、それが妥当かどうか審査をする仕組みがあります。(インカメラ方式と言います)

実際に、座間市の情報公開条例に基づいて請求した情報を市は非公開としたものの、不服申し立てが行われ、審査会により「公開すべき」という判断が出て公開された事例があります。

ところが、今回の特定秘密保護法案では、そうした第三者機関のチェックは全くありませんから、行政の「好き放題」「やりたい放題」となることは、「おそれ」「可能性」ではなく明らかなことです。

では、行政情報の秘密に関する司法判断はどうだったのかということを調べてみると、現行法では国家公務員や地方公務員の守秘義務というのがありますが、国家公務員の守秘義務に関する判例では、こういうものがあります。

これでは、国家公務員法第100条1項における「秘密」について以下のように定義しています。

「非公知の事項であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるものをいい、国家機関が単にある事項につき形式的に秘扱の指定をしただけでは足りない」

ここで注意していただきたいのは、「保護に値すると認められるもの」 という表現です。「おそれ」の場合は、可能性一般又は感覚、感情的なものまで含まれることになりますが、「認められるもの」は、合理的な説明が可能なものと理解できます。

さらに「国家機関が・・・・・形式的に秘扱の指定しただけでは足りない」というくだりは、きわめて意義深いものがあります。つまり、今回の特定秘密保護法案は、「形式的な指定」が濫用される蓋然性があまりにも大きいからです。

要は、法として成り立ちえないものであるということ。

今回の法案提出に際して、安倍首相や霞が関官僚は「グローバルスタンダード」と言っていますが、アメリカの機密指定の要件では以下のようなものがあります。

「国家安全保障上の利益(国際テロリズムからの防衛を含む)に損害がもたらされる結果が生じることを、原機密指定者が合理的に予期しえると決定し、かつ、その損害を特定又は記述できること」

最高裁判例の「認められるもの」に通じるものがあることがおわかりになると思います。まさに、情報を「おそれ」というあいまいさと検証できないブラックボックス化によって、恣意的な運用が約束されたような法案ですが、こんな法案を出してくるとは、

おそれいります。

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