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2013年5月26日 (日)

警鐘

以下は5月21日、日本外国特派員協会主催で行われた「アレクセイ・ヤブロコフ博士 記者会見」の一部です。アレクセイ・ヤブロコフ博士は、1986年のチェルノブイリ原発事故当時、ゴルバチョフ書記長(当時)のアドバイザーを務め、その後もチェルノブイリ事故の影響を25年以上に渡って追跡調査してきた方です。

IAEA、WHOはチェルノブイリの犠牲者は9000人といいますが、私の他、アメリカやカナダの学者は10万人が死亡したと主張します。さらに世界的な出生率の低下による影響が10万人分あります。チェルノブイリの犠牲者は20万人にのぼるのです。

それだけの大きな誤差は説明が必要です。WHOは、チェルノブイリの事故直後年に「直ちに危険はない」と宣言しました。福島と全く同じです。「癌のリスクは高まらない」とも言いました。20年近くたって、WHOは死者が約9000人、病人が約20万人出たことを認めました。同じことが、福島でも起きています。WHOは2か月前、「予測されるリスクは依然低い」「癌のリスクは増加していない」と公式に発表しています。

これは、まったく容認できない見解です。私の意見では、これらの見解は十分な科学的根拠に基づいていません。なぜならIAEA,WHO、UNSCEARなどによる公式な計算はすべて方法論的に無効な「平均実効線量」や「平均線量」という概念に基づいているからです。

「平均実効線量」とは何か。これは広範に使われている概念ですが、個々人の本当の被曝量を反映していません。それは例えば「平均体温」と同じようなあくまで「平均」に過ぎないのです。この「平均線量」はどのように算出されれるのか? 実はそんなことは不可能です。なぜならば、事故直後は線量が1000倍以上あったからです。数週間、数か月後にどうやってそれを測定するのでしょう? 各人が、屋外で過ごした時間も異なります。まったく馬鹿げています。「平均」などというものは、科学的にはあり得ないのです。

他にも平均線量には問題があります。彼らは「ユニフォーム・ファントム」と呼ばれる手法を使っています。これは20歳の健康な白人男性を想定しているという意味です。しかし、そんな男性がいったいどこにいるというのでしょうか。

日本でこれから起きることは染色体突然変異、先天性異常。チェルノブイリ事故の9か月後にキエフでは出生率が急落しました。全く同じことが福島でも起きています。これは事故から9か月後の福島の公式な統計データです。誰もこれについて語ろうとしません。歴史上かつてなかったような統計的な変化や急激な出生率の低下が、なぜ日本やキエフで起きたのか? 誰もこの問いに答えようとしません。

福島の原発事故が原因なのです。チェルノブイリ周辺では調査したすべての植動物や微生物に、高レベルの突然変異が見られました。現在福島周辺で起きている慢性的な低線量被曝は、世代を超えてゲノムを不安定化させます。日本でこれから起きることは染色体突然変異、先天性異常、乳幼児死亡率、出産期死亡率の増加、これは既に起きていることです。甲状腺がんは必ず来年から増加します。その他の固形癌も5年以内に発症が始まるでしょう。

<質問>
例えば郡山のように避難対象とはならなかったものの比較的放射線量が高い地域の住民には、何をアドバイスしますか?

<答え>
私のアドバイスは単純明快です。個々人のリスクを特定してください。個々人のリスクは目の水晶体の混濁、歯のエナメル質の変質、ホールボディカウント、毛髪や爪に含まれる放射線核種の検査などで特定できます。自分にそのリスクがあることが判明した場合、直ちに対処法を考える必要があります。 

その地域から移住することも考えられますが、福島周辺ではどこに避難してもかえって放射線量が高いところに避難してしまう可能性もあります。だから各地の放射線量を詳細に調べ正確な放射線地図を作る必要があります。

あれだけの事故が起きた以上、もはやこれまで通りの生活は続けられない現実を受け入れる必要があります。福島周辺の全域、さらには東京でさえも、これまでの意識を変え、自分の周囲の食、水、土壌をすべて調べる必要があります。

本当のリスクを知ると最初はショッキングかもしれません。しかしこれは100%の人が病気なるというようなものではありません。おそらく1%とか3%とか5%の人が癌やその他の病気になる程度でしょう。多くの人々は汚染地域に住んでいても健康なままでしょう。これはリスクの理解の問題なのです。常にリスクに晒されていると感じながらその地域に留まるか、あるいは避難するか。

チェルノブイリの事故の直後、全ロシア人の15%が移住しました。一方で、数千人の人々が避難地域に不法に入植しています。彼らは、あえて汚染地域に住むことを決断したのです。自分は高齢だし元気だからここで闘うぞと。決断はそれぞれの人が下すしかないのです。

年間20ミリシーベルトの基準は、まったく誤った考え方だと思います。そもそも私は線量評価そのものに強く反対しています。それはあくまでも平均値であり、すべての人を守るものではないからです。それはあくまでも何が起きたかについての一般的な印象を与えてくれるだけです。私は1ミリシーベルトはおおむね妥当だと考えています。リスクはゼロではありませんが、概ね妥当と言えるでしょう。若い人や子供には妥当ではありませんが、成人には妥当だと思います。しかし、20ミリシーベルトはあり得ません。馬鹿げています。

日本がその基準を採用していることを知ったときは、とてもショックを受けました。実に馬鹿げています。

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