尖閣諸島問題について
9月30日の市議会第3回定例会最終日に、「尖閣諸島付近海域での中国船衝突事故に対する日本政府の毅然たる態度と違法操業などの厳格な取り締まりを求める決議」が提案され、賛成多数で可決されました。反対したのは我々市民連合と神奈川ネット。
この問題に対する与野党のやりとりを見ていると、与党民主党側は、「領海内で起きたことであるので、粛々と国内法を適用して逮捕した」「その結果、検察は処分保留とし、船長を釈放した」というもの。
一方、自民党などの野党は、「検察が処分保留にしたのは、政権側からの何らかの意向に沿ったものではないか」「政権が外交的判断をすべきことを、検察にその責任を負わせているのではないか」また「本来独立しているはず検察が、政治によって左右されているのではないか」というもので、「弱腰外交」「政府の責任逃れ」と声高に叫んでいます。
これ以外にも、「近づく中国船は沈めてしまえ。そうすれば安保条約に基づいて米軍が対応することになる」とか、荒唐無稽な「論理」を振り回す輩まで現れる始末です。
まず検証されなければならないのは、政府はなぜ今回逮捕に踏み切ったのか、ということ。ジャーナリストの田中良紹氏(元TBSディレクター)は、こう主張しています。
問題は日本の領海内で操業していた中国漁船に日本政府が「初めて」国内法を適用して逮捕した事にある。それまでの自民党政権は中国漁船を追い出すことはしても逮捕はしなかった。言い換えれば民主党政権は自民党政権の「弱腰」から「強腰」に転じようとしたのである。
ところが公表されているのは、当時の岡田外務大臣と前原国土交通大臣が「領海内で起きた事だから粛々と国内法を適用すべきだ」と主張して逮捕に踏み切ったのだと言う。自民党政権より「毅然」としている所を見せたいという意識があったようだ。しかし民主党政権は「毅然」とする事で如何なる利益を得ようとしたのか、それが分からない。
粛々と法を適用する」だけなら政治家は不要である。官僚に任せれば良い。政治家は「法を越えた判断」、「法を越えた知恵」を出す必要があるから存在する。そして外交には特にそれが必要だ。世界は自国の利益を得るために「法を越える」事など日常茶飯事である。嘘と謀略の世の中で「毅然として」不利益を被るのでは「バカ丸出し」と言われる。
私もそう思います。一体民主党政権(というか前原、岡田両氏?)は何をやりたかったのでしょうか。日中の対立をあえて作り出したかったのか。前原氏が即アメリカのクリントン国務長官から「尖閣諸島は日米安保の対象」という「言質」を取りにいっていますが(そういう「言質」は正確にはなかったという報道もありますが)、沖縄海兵隊駐留の根拠付けにしたかったのか、観測気球だったのか、よくわかりません。
一方自民党側の「政治が外交的判断を放棄している」と言う主張は、正論ぽく聞こえますが、では、逮捕した後に「政治判断で、釈放すべき」という論かと思えば、そうではなく、「起訴すべき」という強硬論のようです。であるならば、これまで自民党政権がとってきた外交的態度とは正反対のものではあり、その「転換」に責任を持つべきです。
1978年日中平和友好条約締結時の合意点は、
確かに尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがある。国交正常化の際、両国はこれに触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉でも同じように触れないことで一致した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない、というのは、この問題に触れるとはっきり言えなくなる。こういう問題は一時棚上げしても構わない、次の世代は我々より、もっと知恵があるだろう。皆が受け入れられるいい解決方法を見出せるだろう(鄧小平中国副首相:当時)
日中平和友好条約を締結したの自民党福田赳夫首相時代。「強硬論」を主張するならば、この外交合意点を「破棄」することを、中国側に伝え、対応するのが筋ではないでしょうか。
私は、この「合意点」を覆す意義を感じません。それは日中両国にとって不利益だと考えるからです。
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